PhantomXをX68000本体基板に固定するブラケット「PXBKT-PRO V3.5」(頒布2026/2~, 対象機種: X68000 PRO(II)(HD), PRO型のPIONEER OEM機) の特徴や取り付け、使用方法を説明する公式マニュアルです。本品はBOOTHショップのmcafe工房で頒布しています。

本品の特徴
・PhantomXを固定して脱落を防止します。
・PhantomXの取り付けミスを予防します。
・Raspberry Piを冷却する40mmファンを取り付け可能です。
・リロケータとベースボードをX68000に固定したままRaspberry Piだけを取り外せます。
・V3.5では素材をABSに変更し、耐熱性が向上しました。機能は従来と変わりません。(V2, V3は欠番です)
・Raspberry Pi 4B用のケース型ヒートシンク「Geekworm N300」を装着できます。このためのパーツがV3.5では標準で付属します。(N300は付属しません)
・リロケータのピンが短いタイプと長いタイプの両方に対応しています。
注意事項:必ずお読みください
・取り付け作業を始める前に、下記手順の全体を読んで流れや注意事項を把握してください。
・本品はユーザー様ご自身でサポート材 (3Dプリンターで造形する際に作られる土台) を除去していただきます。
・Raspberry Pi 4Bを使用する場合は、冷却ファンの使用を強くお勧めします。ファンレスで運転するとRaspberry PiのSoCが70℃近くになることがあります。
・HDD内蔵機では、SASIフラットケーブルの取り回しが窮屈になります。ただし、稼働に影響はありません。
・本品は家庭用FDM方式3Dプリンターで製造しているため、多くの場合造形に以下のような欠点があります。積層痕の不揃い、小さな隙間や凹凸、変色や焦げの付着など。機械的機能が損なわれない程度なら出荷対象としています。なお、サポート材を取り除いたら大きな欠損が現れたような場合はご相談ください。
セットの内容
・ブラケット本体
・ステーA1, ステーB1
・ステーCL, ステーCH
・ステーA2, ステーB2, ステーD
・スペーサー1, スペーサー2
・ねじ、ワッシャー類
・(オプション) プラスドライバー組み立てキット (ドライバービット、ハンドル、Oリング)


ねじ、ワッシャー類の内訳
1) なべ B-1タッピングねじ 3 x 16mm ・・・3個
2) バインドねじ M3 x 12mm ・・・2個
3) なべ B-1タッピングねじ 3 x 10mm ・・・4個
4) バインド B-1タッピングねじ 3 x 10mm・・・1個
5) バインドねじ M3 x 10mm・・・1個
6) バインド B-1タッピングねじ 2.6 x 8mm ・・・5個
7) ナイロン製ワッシャー M2.6用 ・・・1個
8) バインドねじ M3 x 14mm ・・・2個
Tips: ねじの頭が少し平たいのが「バインド」、丸っこいのが「なべ」です。
「B-1」は、ねじを切り進むための切り欠きがある強力タイプのタッピングねじです。
Caution: タッピングねじをねじ込む相手は金属よりはるかに弱い樹脂ですので、強く締めすぎないようにします。

(参考) Raspberry Pi 4B用ケース型ヒートシンク「Geekworm N300」について
使用することでRaspberry Pi 4BのSoC温度が約5-10℃低下します。室温やX68000本体の通気状態などによります。
・SoC貼付タイプのヒートシンク使用、冷却ファンなし・・・70℃
・N300使用、冷却ファンなし・・・60℃
・SoC貼付タイプのヒートシンク使用、冷却ファン使用・・・55℃
・N300使用、冷却ファン使用・・・45℃
(室温25℃, 12時間放置後)
必要工具
・付属プラスドライバー、または一般のプラスドライバー太さ1番と2番。
付属ドライバーは、下記手順の項番3-3や項番4で壁際のねじを回すときに柄が細いドライバーの方が便利であること、また項番3-3と項番10-2で拡張スロット基板のねじを回すときに短めのドライバーが必要なために用意しました。
・ハサミ、ナイフ、ラジオペンチなど (必要に応じてサポート材除去に使用)
・接着剤 (手順項番1-2.参照)
付属ドライバーの組み立て方と使用方法
ドライバーハンドル(柄)の薄いバリを取り去り、表面の溝にOリングをはめます。ドライバービットを奥に当たるまで差し込みます。グラグラするのは仕様です。
ビットは1番と2番のコンビになっており、ねじの太さに合わせて向きを入れ換えて使います。ビットがOリングに引っ掛かって抜き取りにくいときは、左右にこじりながら抜くと簡単に抜けます。
ハンドルの頭に3mmまたは4mmの六角レンチ (付属しません) を差し込んで延長できるようになっています。ただし、特に3mm六角穴の耐久性は低いため、本締めには使用できません。
Caution: ドライバービットは弱めの磁気を帯びていますので、フロッピーディスクなどの磁気に弱い物に近づけないようにします。


サポート材の除去
リンク先文書を参照してサポート材を取り除いてください。
Geekworm N300・Raspberry Pi 4Bの組み立て方
N300の説明書に従い組み立てますが、最後にケースを閉じる4本のねじは指定のスペーサー形状のものではなく、六角穴ねじ (N300付属品) を使用します。

取り付け手順
・選択肢となっている作業項目は、見出しを青色で示しています。
・特記ない限り、プラスドライバーのビットは2番を使用します。
・Geekworm N300の取り付け有無により、下記手順の項番9, 11が分岐しています。他の手順は共通です。
1. リロケータの判別、長ピンの場合スペーサーの取り付け
PhantomX付属のリロケータ(白基板)は、ピンの土台部分の長さ(高さ)に2種類あります。Twitterで「短ピン (Short pin)」と「長ピン (Long pin)」と呼んでいましたので、この呼称に統一します。9割以上は短ピンで、長ピンは初期ロット品に限られます。
1-1. リロケータの判別方法
下図は2種類のリロケータを斜め下から見ており、上が長ピン (Long pin)、下が短ピン (Short pin) です。リロケータ下面のピンに注目します。
ピンの黒い台座部分の高さが約4.5mm、ピンも含む高さが約8mmあれば、長ピンのリロケータです。多くの場合、台座の側面に横方向の薄い線が見えます。
一方、台座の高さ約3mm、ピンも含めて約6.5mmなら、短ピンです。

また、ブラケットにリロケータを置いて真横から見たとき、ピンガードからピンが僅かに突き出て見えれば長ピン、ピンが引っ込んでいれば短ピンです。(下図)
Caution: この判別方法はPRO用ブラケット本品のみ当てはまります。


1-2. スペーサーの取り付け
長ピンのリロケータを使用する場合のみ、ブラケット全体を嵩上げするために本品のスペーサー2個をブラケットの足の裏に取り付けます (接着します)。足裏とスペーサーのポッチの数と向きを一致させ、スペーサーのポッチのある面を下 (メイン基板に接するよう) にします。
強固に接着する必要はなく、接着剤は何でも構いません。ゴム系やスーパーXが扱いやすいためお勧めします。



2. 冷却ファンの取り付け
冷却ファンは最初にブラケットに取り付けます。本品付属ねじ2本を使用し、ブラケット側面に40mmサイズのファンを内向きに固定します (風をPhantomXに当てる方向)。付属ねじは10mm厚と5mm厚のファンで使えます。
使用ねじ類 :
1) なべ B-1タッピングねじ 3 x 16mm ・・・2個

3. X68000本体側の準備
メインの電源ケーブルを基板に挿した状態にしておくことをお勧めします。PhantomXの取り付け後に挿すことも可能ですが、狭くなるため不慣れだと難しいかもしれません。
以下、X68000本体を通常の横向き、前面パネルを手前にして置いた状態で説明します。
3-1. 初めてPhantomXをX68000に取り付ける場合
PhantomXの公式説明のとおり68000 MPUを本体から取り外し、PhantomX付属の丸ピン嵩上げソケットを取り付けます。また、ソケットのすぐ右奥に立っている電解コンデンサーを斜めに倒します。(公式説明をお読みください)
3-2. PhantomXを取り付け済みの場合
嵩上げソケットを本体メイン基板に残し、PhantomX全体を取り外します。そして、リロケータ (白基板)とベースボード (黒基板)は一体のまま、Raspberry Piだけを分離します。リロケータとベースボードも互いに分離する方が後で取り付けやすいのですが、分離時にピンを曲げてしまう可能性が高いです。
Caution: PhantomXとRaspberry Piのピンを曲げないよう、十分注意してください。
3-3. ねじの取り外し
本体メイン基板の2か所のねじ (図示) と、拡張スロット基板の右上のねじ (図示) を取り外します。これらのシャープ純正ねじは使いませんので保管しておきます。
Caution: ねじを回すときに拡張スロット基板に手が触れると、部品の足で怪我をします。厚紙などで基板を覆っておくことをお勧めします。
Tips: メイン基板の固く締まっているねじを最初に緩めるときは付属ドライバーのハンドルを指やペンチで力を入れて回しますが、緩んだ後はハンドルの頭に3mmか4mmの六角レンチを差し込んで延長すると回しやすくなります。手前側のねじを回すために延長する際は、前面のプラスチックパネルをずらすと現れるシャシー上部の穴 (緑四角で図示) に延長用六角レンチを通すようにします。(本来は長いドライバーの軸を通すための穴です)。
前面パネル内側上方に爪が3か所あり、左端と中央の爪は押し上げながら、右端の爪は右に押しながらパネルを手前にずらします。
Caution: パネルの爪が経年劣化していて折れるリスクがあります。(制作者経験済み)



4. ブラケットの仮固定
ねじ穴 (図示) を合わせてブラケット本体をメイン基板に置き、本品付属ねじ2個で少し緩く締めます (止まるまで締めてから約1回転戻す)。ブラケットを揺すると僅かに動くことを確認します。
使用ねじ類 :
・短ピンのリロケータ使用時
2) バインドねじ M3 x 12mm ・・・2個
・長ピンのリロケータ使用時 (項番1でスペーサー取り付け済み)
8) バインドねじ M3 x 14mm ・・・2個
Tips: 項番3と同様にドライバーを六角レンチで延長すると回しやすくなります。
Caution: 個体差を吸収するため、リロケータとベースボードを取り付けるまではブラケットが動けるよう仮固定のままにしておきます。


5. リロケータの仮置き、位置調整
リロケータ裏のピンに曲がりがないことを目視確認しておきます。
リロケータをブラケットの所定の位置に置き、リロケータ裏のピンが嵩上げソケットのピン穴に軽くはまるよう、リロケータとブラケットの位置を互いに微調整します (まだソケットに強く挿しません)。ピンがソケットの穴にはまると僅かにリロケータが沈み、ブラケットの窪み1段目(上段)とリロケータ上面がツライチ(同一面)になります。(図示4か所。リロケータが重みで右奥に傾くため、手前を指で押さえて水平状態で確認します)

6. リロケータのはめ込み
橙色で示す箇所を強めに押し、リロケータをソケットに挿します。大抵はピンの片方の列が先に刺さりリロケータが傾きますが、慌てず両方の列を最後まで挿します。リロケータが水平になり、ブラケットの窪み2段目(下段)とリロケータ上面がツライチになったことを確認します。(図示4か所)
リロケータとベースボードが一体になっている場合は押し込みにくいため、特に慎重にリロケータに力をかけるようにします。

7. ベースボードの取り付け
ベースボード右手前のねじ穴とブラケットのねじ穴を合わせ、ベースボードをリロケータのソケットに挿します。右手前ねじ穴をねじ留めします。ナイロンワッシャーを使用します。
使用ねじ類 :
6) バインド B-1タッピングねじ 2.6 x 8mm ・・・1個
7) ナイロン製ワッシャー M2.6用 ・・・1個
使用ドライバービット : 1番 (細い方)
Caution: ねじの頭を舐めないように気を付けながら最後まで締めます。締め込みが不十分だと、ステーB1がねじの頭に当たり浮いてしまいます。

8. ブラケットの本固定
仮固定だったブラケットを、ねじ2個 (図示) を締めて本固定します。
Tips: 項番3,4と同様にドライバーを六角レンチで延長、または長軸のドライバーを使用すると締めやすいです。
Caution: 雌ねじ側が薄板のため強く締めすぎないようにします。

9. ステーAとステーBの取り付け
9-1. 標準構成の場合 (Geekworm N300を取り付けない)
ステーA1とステーB1をそれぞれ、ねじ2個で取り付けます。ベースボードの押さえとRaspberry Piの土台になります。
使用ねじ類 :
5) なべ B-1タッピングねじ 3 x 10mm ・・・4個

9-2. Geekworm N300ケースを取り付ける場合
ステーA2をねじ2個で取り付けます。ステーB2はねじ1個で取り付け、空いている方のねじ穴をブラケットの穴に合わせます。ベースボードの押さえとGeekworm N300の土台になります。
使用ねじ類 :
5) なべ B-1タッピングねじ 3 x 10mm ・・・3個

10. ステーCの取り付け
10-1. ステーCの選定
ステーCはリロケータの高低 (長ピン・短ピン) に応じて高さが2種類あります。
・短ピンのリロケータ使用時
→「L」マークのあるステーCLを使用します。('L' is for Short pin relocator board.)
・長ピンのリロケータ使用時 (項番1でスペーサー取り付け済み)
→「H」マークのあるステーCHを使用します。('H' is for Long pin relocator board.)
10-2. ステーC上側の固定
ステーCの「L」「H」マークがない方を上にします。上側を本品付属ねじで拡張スロット基板に取り付け、下側ねじ穴をステーBのねじ穴と合わせます。
使用ねじ類 :
5) バインドねじ M3 x 10mm・・・1個

10-3. ステーC下側の固定
ステーCの下側を本品付属ねじでステーBに固定します。
ステーCのねじ穴が僅かに余裕のあるサイズになっており、この部分で個体差を吸収します。ステーBのねじ穴と位置が合わないときは拡張スロットユニット自体の取り付けが緩んだり曲がったりしていないか確認し、必要なら修正します。
使用ねじ類 :
4) バインド B-1タッピングねじ 3 x 10mm・・・1個

11. Raspberry Piの取り付け
11-1. 標準構成の場合 (Geekworm N300を取り付けない)
Raspberry Piをベースボードに挿し、ねじ留めします。ねじ穴が少しずれているときはステーA1, B1の取り付けを緩めて位置を合わせます。(全く合わない場合はRaspberry Piのピンがずれていないか確認します)
使用ねじ類 :
6) バインド B-1タッピングねじ 2.6 x 8mm ・・・4個 (Pi Zero系は2個)
使用ドライバービット : 1番 (細い方)
Tips: 通常は4個すべてのねじ穴を固定する必要はなく、2個でも十分と思われます。図は2か所で固定の例。

11-2. Geekworm N300ケースを取り付ける場合
Geekworm N300に組み込んだRaspberry Pi 4Bをベースボードのソケットに挿します。N300の角穴がぴったりのサイズで作られているため、ピンがずれることはありません。

ステーDの爪をステーA2の凹みの下に引っ掛け、倒してGeekworm N300を押さえます。

ステーDとステーB2を共締めします。
使用ねじ類 :
1) なべ B-1タッピングねじ 3 x 16mm ・・・1個

12. 冷却ファンの配線
冷却ファンの電源を任意の場所から配線します。自己責任で行ってください。
取り付け方法は以上です。
Raspberry Piだけを取り外す方法
Raspberry PiをステーA,Bに固定しているねじを外すことで、ベースボードやリロケータをブラケット側に残したままRaspberry Piを安全に取り外すことができます。
または、Geekworm N300ケースを押さえているステーDを取り外します。
PhantomX全体をX68000本体から取り外す方法
ブラケットをメイン基板に固定している2個のねじを外します。ブラケットをメイン基板からなるべく垂直に引っ張ります (多少こじる方が抜けやすいです)。リロケータが嵩上げソケットから抜けて、全体を取り外すことができます。(嵩上げソケットは抜けません)
Caution: ブラケットにリロケータが付いたままX68000本体へ再度取り付けることはお勧めしません。リロケータのピンをソケットに挿すことが困難なため、分解して取り付け手順の最初から実施してください。
参考:取り付け・取り外しを繰り返す場合のTips
何度も付け外しを行うことは、ピンとソケットにとって自動車の世界で言う「シビアコンディション」での使用なのかもしれません。このような場合、接点復活剤をピンに薄く塗布しておくと潤滑性が増して摩耗が軽減されます。PhantomXの公式では特に言及されていませんので、自己責任で行ってください。本品の開発に際してKURE接点復活スプレーを綿棒でピンに塗布してリロケータやベースボードの抜き差しをこれまでに数百回行いました。接点復活剤のお陰か不明ですが、接触不良やピン折損などの問題は一度も起きていません。
ちなみに、SDIP丸ピンタイプソケットの抜き差し回数の寿命は、製品によりますが日本製の物でも50回程度が一般的な仕様のようです。
以上








































































